車検制度の始まり

日本の車検制度は元々、タクシーやバスなどの安全性を確保するために、1930年(昭和5年)に始まりました。 その後日本社会が徐々に発展し、一般市民でも車を所有できるようになりました。そこで一般の車の安全性を確保するために、戦後の1951年(昭和26年)に現在にも通じる「車検制度(道路運送車両法)」が定められ、車検が義務化されました。さらに、1955年(昭和30年)には交通事故の増加から被害者を守るために自賠責保険加入が義務づけられます。軽自動車の車検は、1973年(昭和48年)に義務化されました。軽自動車の車検の際に必要な費用として、自動車重量税6,600円/自賠責保険料26,370円が必要ですが、1トン未満の車がそれぞれ16,400~27,840円と比較すると、その安さは際立っています。
車検制度といってもクルマが世に現れると同時にできたわけではなく、クルマ社会が発展する中で誕生、進化してきたわけです。現在に通じる車検制度だけをとってみても、すでに約60年の歴史があるということです。

車検制度の目的

車検の目的は、道路運送車両法にあるように、「安全性の確保および公害の防止その他の環境の保全並びに整備についての技術の向上を図り、自動車の整備事業の健全な発達を促すためです。 」ことです。
ここで、私が1つ問題点として、提示しておきたいことは、車検制度60年の歴史の中で、メーカーの絶え間ない努力により、車検制度がはじまった頃からは、比べものにならないほど、環境適合性、耐久性の良い車が作られるようになってきている点です。そうしたことは、1980年代に「車検の意味がないのでは?」という世論が巻き起こり、1990年代にユーザ車検や新車登録時の車検期間を3年に延長したりする措置が取られるなど、徐々にその規制が緩和される方向へと進みだしました。
しかし、車検制度を無くしてしまうと、野放しにすると全く車の知識もなく点検をしない人が発生し、高速道路などで重大な事故の発生にもつながることから、車検制度はなくならないことでしょう。